2019.1.4
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不動産投資

相続税対策の注意点「タワーマンション節税」の仕組みとリスクとは

(写真=yampi/Shutterstock.com)
(写真=yampi/Shutterstock.com)
相続税対策として、タワーマンションの購入を勧められることがあります。しかし、正しい知識を持って相続税対策を進めないと、税務調査で否認されてしまうリスクがあります。タワーマンションの購入が相続税対策になる仕組みと注意点について解説します。

タワーマンションの購入が相続税対策になる理由

順調に資産形成が進んだ頃に、タワーマンションの購入を検討することがあるかもしれません。また、資産が一定額を超えた際に気になるのは、相続税です。「タワーマンションの購入は相続税対策になります」と不動産会社の営業マンに声をかけられ、心が動いた経験を持つ医師は多いのではないでしょうか。

タワーマンションは高額な買い物であり、「現金」という資産を「不動産」に組み替えることでもあります。不動産会社の営業マンの言葉を鵜呑みにせず、節税の仕組みをきちんと理解した上で購入の意思決定をするようにしましょう。

相続税とは、相続や遺言によって財産を取得した人が納める税金です。現預金や不動産はもちろん、金などの現物や有価証券、宝石や骨とう品などあらゆる財産が相続税の課税対象となります。相続税は財産総額を計算し、相続税率をかけて算出します。

相続税を計算する上で、現預金は金額がそのまま評価額となりますが、その他の不動産など財産は税法で定められた方法で評価することとなります。タワーマンションの場合、実際の購入価格と税法による評価額との乖離が大きいため、一般的に相続税を圧縮する効果があるとされています。

タワーマンションの土地と建物の評価方法

タワーマンションを評価する時、土地と建物は分けて評価します。土地については、路線価という地価などをもとに道路ごとに定められた価額に、土地面積を乗じた金額が評価額となります。一般的に人の集まりやすい土地は、評価額が高くなります。

タワーマンションは、立地が良いため路線価が高くなるケースが多いです。しかし、土地の上に複数の人が共有する建物がある場合は、建物の床面積に応じて土地を按分し、持ち分を決めることになっています。

つまり、狭い敷地を多くの世帯が共有するタワーマンションの場合、路線価が高くとも世帯数で按分することによって土地の持ち分が小さくなり、結果的に評価額が小さくなるのです。

また建物は、固定資産税評価額をそのまま相続税評価額として用いることとされています。固定資産税評価額は市役所の調査などによって決定されますが、階によって金額が変わることはありません。それに対して、実際の価格は高層階になるほど高額になります。つまりタワーマンションは、実際の価格と評価額との間に乖離が発生しやすいということです。

現預金として持っていれば、その金額がそのまま相続税評価額になり多額の相続税がかかりますが、タワーマンションを購入することで、財産の評価額を圧縮できる可能性があるのです。

タワーマンションを購入する時の注意点

タワーマンションの購入による財産の圧縮効果は大きいですが、その分リスクもあります。国税庁の財産評価通達の第6項には「この通達の定めによって評価することが著しく不適当と認められる財産の価額は、国税庁長官の指示を受けて評価する」という一文があります。

つまり、明らかに相続税の回避を目的としてタワーマンションを購入した場合や、実際の価格と評価額との間に大きな乖離がある場合、国税庁長官の指示によって評価される場合があるということです。この定めによって、タワーマンションを用いた相続税の節税が否認された判例もあります。

タワーマンションを購入して相続税を節税する際には、これらの規定を踏まえた上で慎重に検討する必要があります。相続開始の直前に購入した場合や、相続後すぐに売却した場合は、否認されるリスクが高くなります。

納税回避を目的とするのではなく、自宅用あるいは賃貸用など正当な目的で購入することや、相続後にすぐに現金化することは避けるなどのポイント押さえた上で、タワーマンションの購入を検討するようにしましょう。

文・木崎 涼(医療機関専門のファイナンシャル・プランナー/M&Aシニアエキスパート)

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