2018.12.27
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マネー

不動産が多い場合は要注意――遺族が相続税を納められないケースと解決策

(写真=Antonio Guillem/Shutterstock.com)
(写真=Antonio Guillem/Shutterstock.com)
日々診療で忙しいと、必要だと分かっていてもつい相続税対策を後回しにしてしまいがちです。しかし、相続税対策をおろそかにしていると、大切な家族に大きな負担をかけてしまう場合があります。特に不動産が多い場合の相続税のリスクについて確認しておきましょう。

相続税の仕組みを理解して相続税対策をする

年を重ね資産が増えてくると、相続税の心配が出てきます。しかし、相続税対策といっても具体的に何から手をつければいいか分からず、放置してしまっている人も多いのではないでしょうか。相続税対策をしないまま相続が発生すると、悲しみの渦中にいる遺族に大きな負担をかけてしまうことになります。

大切なご家族のためにも、生前にきちんと相続税対策をしておくことをおすすめします。また、手を付ける前は面倒に思えても、いざ財産状況を整理して相続税のシミュレーションをし、相続税対策が完了すると、安心される医師が多いのも事実です。相続税に関する不安を取り除くことで、今以上に診療に専念することができるでしょう。

相続税対策をするために、まず相続税の仕組みについて簡単に解説します。相続や遺言で財産を受け取った人に課税される税金を、相続税と呼びます。ただし、財産を受け取ったからといって必ず相続税がかかるわけではありません。

相続税には基礎控除があり、財産総額が基礎控除の範囲内であれば、相続税は発生しません。基礎控除は、法定相続人の人数に600万円を掛けた金額に、3,000万円を足して計算します。例えば、法定相続人が妻・子2人の3人であれば、基礎控除は4,800万円です。この場合、財産総額が4,800万円以内であれば、妻や子は財産を相続したとしても相続税を納める必要はありません。

相続税対策を始める前に、まず基礎控除を計算し、財産総額が基礎控除の範囲内に収まるかどうかを確認しましょう。相続財産には、現預金はもちろん土地建物などの不動産や有価証券、生命保険金や金など、資産価値のあるものはすべて含める必要があります。もし出資持分のある医療法人を経営している場合は、医療法人の出資金も相続財産に含まれます。

洗い出した財産を一覧にし、もし基礎控除を超えないのであれば、そもそも相続税対策は必要ありません。現状では基礎控除の範囲内であっても将来超えそうな場合や、すでに基礎控除をはるかに上回っている場合は、早急に相続税対策を始めましょう。中でも、財産の中で不動産の割合が多い場合は要注意です。

不動産の割合が多い場合の相続税のリスク

相続税は、まずすべての相続財産を民法で定められた法定相続分で分割し、各人の相続財産に相続税率をかけて計算します。その上で、実際に取得した財産の割合に応じて相続税の総額を按分し、各人が納める相続税の金額を算出します。

相続財産のほとんどが現預金であれば、たとえ相続税が高額でも、相続した財産の中から納めることができます。相続税の分を差し引いても、相続人は財産を受け取ることができるのです。

しかし現預金が少なく、土地・建物などの不動産が相続財産のほとんどを占める場合、納税資金は相続人が各自で調達しなければなりません。中には、相続税の納税のために銀行から借入をするケースすらあるのです。

相続税対策の方法と注意点

相続税のシミュレーションをする時は、相続した財産の中から相続税を納めることができるかどうかを必ず確認しましょう。不動産を取得した場合でも、相続税の分だけ現預金を確保しておかなければ、遺された家族が苦労することになります。

どうしても納税資金に充てる現預金が準備できない場合は、不動産を売却するのも一つの手です。とはいえ、ご遺族が悲しみの渦中にいる時に、不動産の売却手続きをするのはかなりの負担です。また、土地は測量など一定の手続きを踏まないと売却できない場合も多く、相続税の納税までに間に合わないことも十分考えられます。生前にきちんと手順を踏んで不動産を整理し、相続税の納税資金を確保しておきましょう。

早めに相続税対策を始められるなら、相続税の金額を見積もり、必要な金額をあらかじめ相続人に贈与しておくのも効果的です。一人当たり毎年110万円までであれば、贈与したとしても贈与税はかかりません。贈与することによって相続税の対象となる財産総額も目減りするため、相続税そのものを節税することもできます。

文・木崎 涼(医療機関専門のファイナンシャル・プランナー/M&Aシニアエキスパート)

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