2018.12.19
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マネー

無効にならない遺言書の作り方――相続対策のポイント

(写真=Africa Studio/Shutterstock.com)
(写真=Africa Studio/Shutterstock.com)
遺言書という言葉は一般的でも、実際の作成方法や注意点についてはあまり知られていません。遺言書が無効とされてしまうと、意図した人に財産が渡らないこともあり得ます。正しい知識を身に着けて遺言書を準備し、財産を大切な人に遺すようにしましょう。

遺言書を作る意味

遺言書とは、自分の死後の財産分割について書き残しておく書面のことです。遺言書を作成しておくことで、自分の築いた大切な財産の行き先を指定しておくことができます。また、遺された家族に遺言者の意志が伝わるため、遺産分割がスムーズに進みやすくなるというメリットもあります。

特に法定相続人の中に行方不明者がいる場合は、遺言書を作成しておくことをおすすめします。不動産の登記などさまざまな手続きにおいて、「法定相続人全員の名前と印鑑」が求められることが多いためです。遺言書があれば、遺言書を用いて手続きすることができます。

遺言書には、すべての財産について記載する必要はありません。特定の財産についてのみ書き遺しておくこともできます。すべての財産について記載する場合も、「記載した以外の財産が出てきた場合」という条項を付け足し、財産の帰属先を指定しておくことが一般的です。また、財産の割合について指定しておく方法もあります。その場合、「妻に3分の2、長男に6分の1」といった書き方をします。

遺言書を作成する場合、法定相続分を参考にすることがあります。法定相続分とは、民法で定められた遺産分割の割合で、相続税の計算をする時や遺留分を分割する時に用いられます。

法定相続分は「配偶者2分の1、子2分の1」「配偶者3分の2、直系尊属3分の1」「配偶者4分の3、兄弟姉妹4分の1」と定められています。直系尊属とは、両親や祖父母を指します。必ず法定相続分に則って遺産を分割しなければならないというわけではありません。あくまで、遺言書を作成する時の目安としてとらえておきましょう。

遺言書の種類と特徴

遺言書は作成方法によって、「自筆証書遺言」「公正証書遺言」「秘密証書遺言」の3種類に分けられます。

「自筆証書遺言」とは、遺言者が自分で作成して自著捺印し、保管しておく遺言書です。インターネットなどで無料のテンプレートが手に入るため、それを参考にして作成するのが一般的です。手軽に作成できることや費用がかからないといったメリットがありますが、専門家のチェックを受けないため、死後に無効とされてしまうリスクがあります。

「公正証書遺言」とは、公証役場で証人や公証人の立ち合いのもと、自著捺印して作成する遺言書です。公証役場の手数料が発生しますが、専門家の目を通すため無効になりにくく、相続人間のトラブルを防ぐことができます。

「秘密証書遺言」とは、遺言者が自分で作成して自著捺印し封をした遺言書を、公証人や証人に確認してもらって作成する遺言書です。内容を誰にも知られたくない場合に採用される方法ですが、現在ではあまり一般的ではありません。専門家の目を通す訳ではないので、無効とされてしまうリスクもあります。

遺言書を作成する時は、公正証書遺言がおすすめです。せっかく遺言書を作成しても、無効だと判断されてしまえば望む人に財産が渡らない可能性があります。また、遺言書の効力について相続人間で裁判になってしまうと、遺された人たちに大きな負担がかかります。また遺言書を作成する時は、司法書士に依頼するのもおすすめです。

遺言書と遺留分の考え方

遺言書で記載した通りに遺産分割が行われるかというと、必ずしもそうではありません。遺言書を作成する時に必ず押さえておきたいのが、「遺留分」の考え方です。兄弟姉妹を除いた法定相続人には、法律上最低限度の財産を相続する権利が認められており、これを遺留分といいます。

遺言であっても、遺留分を侵害することはできません。たとえ「一人にすべての財産を相続する」という遺言書を作成していたとしても、遺留分に該当する財産については、法定相続人が財産を取得した人に対して請求することができます。

遺留分は、親や祖父母だけが相続人になる場合は3分の1、それ以外の場合は2分の1と定められています。例えば妻と子の場合、遺産の2分の1を遺留分として請求することができます。2分の1の財産はさらに法定相続分に応じて分割されるため、妻と子はそれぞれ遺産の4分の1を相続できるという仕組みです。このように、遺留分を理解した上で遺言書を作成することが大切です。

文・木崎 涼(医療機関専門のファイナンシャル・プランナー/M&Aシニアエキスパート)

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