2018.10.10
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医師も知っておきたい「生前贈与」4つの基礎知識

(写真=beeboys/Shutterstock.com)
(写真=beeboys/Shutterstock.com)
「税率55%」これが何の数字かご存じでしょうか。税率55%とは相続税の基礎控除後の最高税率(法定相続分に応ずる取得金額6億円超の場合)です。相続する財産が高額になるほど税率も高くなるのが相続税です。しかし相続する財産が高額であっても、相続される側と相続する側双方がしっかりとした事前準備をすることで節税することも可能です。今回は、相続税の対策として生前贈与の基礎知識をご紹介します。

ポイント1 生前贈与をすると節税につながる人は

生前贈与を行なったほうが良いかどうかの判断は、実際に相続する財産が相続税の基礎控除の金額内に収まるかどうかによって判断できます。収まる場合は相続税が発生しないため、生前贈与を行っても節税の点ではメリットはありません。しかし基礎控除の金額を超え、相続の際に相続税が発生すると見込まれる場合には、生前贈与を行なうことで節税につながります。

具体的な相続税の基礎控除の金額は(3,000万円+600万円×法定相続人の数)です。つまり相続される人数が1人の場合は3,600万円までが基礎控除となり、2人の場合は4,200万円、3人の場合は4,800万円と基礎控除の金額が増加していきます。

相続財産がこの基礎控除額を超える可能性のある場合、生前贈与を行なうことで節税することができます。

ポイント2 暦年贈与を活用

生前贈与で最もポピュラーな方法が暦年贈与です。暦年贈与とは一般的な贈与の制度に基づき、贈与税の基礎控除部分を利用して生前贈与する方法です。

贈与税は1月1日から12月31日までの1年間に贈与を受けた額に関して課税がなされています。現在の贈与税の基礎控除の額は110万円です。1年間に贈与された金額が110万円以内であれば贈与税はかからず、110万円を超えた部分に贈与税が課されます。

暦年贈与では贈与税の基礎控除部分である年間110万円を毎年活用し、この範囲内で生前贈与を行なうことで節税することができます。例えば、暦年贈与にて年間110万円を10年間生前贈与する場合は、10年間で合計1,100万円を非課税で贈与することができます。

この暦年贈与は、贈与される側は110万円という制限がありますが、贈与する側には制限がありません。そのため1年間に複数の子供や孫など複数人に1人当たり110万円まで贈与を行なうことが可能です。また相続の際の法定相続人のような制限もないため、法定相続人以外に対しても、親族かどうかを問わず誰にでも1人につき年間110万円以内であれば非課税で贈与できます。

ポイント3 相続時精算課税制度を活用

暦年贈与を活用する以外にも、相続時精算課税制度という制度を活用する方法もあります。相続時精算課税制度とは、特定の贈与者から受け取る財産が2,500万円以内であれば非課税となる制度です。

2,500万円までが非課税となると聞くと素晴らしい制度と思われるかもしれませんが、実際に利用する場合には注意が必要です。この制度では、2,500万円までの贈与に関しては確かに贈与税が非課税となります。しかしこの制度で贈与された財産は相続税の対象となります。つまり贈与した際には2,500万円まで非課税ですが、その後に贈与者が亡くなった場合に改めて相続税が課されるという制度です。

言い換えれば、相続の際まで贈与財産への課税が猶予される制度とも言えます。相続税が基礎控除内で収まるなら、この制度を利用して先に生前贈与を実施することでまとまった金額を先に非課税で受け取れます。もちろんその後も課税されません。

賃貸収入のある不動産などは、この制度を活用して先に贈与することでその後の賃貸収入を生前贈与された人が引き継ぐことが可能となります。株式や不動産など評価額の変わる財産の評価額を事前に確定させるといったことも、この制度を利用することで可能となります。

ただしこの制度を活用した場合、先ほど紹介した暦年贈与は同じ贈与者からは受けられなくなるので注意が必要です。

ポイント4 各種特例を活用

生前贈与は、暦年贈与や相続時精算課税制度を活用することが基本となりますが、贈与税の各種特例を活用する方法もあるので少し紹介します。

夫婦間での贈与に活用できるのが配偶者控除です。婚姻期間が20年以上の夫婦間で、居住用不動産やその取得資金を贈与する場合、基礎控除の110万円とは別に最高2,000万円までの配偶者控除が受けられます。

住宅購入資金として、子や孫が直系の父母や祖父母から贈与を受ける場合にも特例があります。各種条件があり、消費税率などによって金額は変化しますが、最大で3,000万円までが非課税となります。ただしこちらは現在のところ2021年12月31日までの制度となっています。

子育てや結婚の資金の贈与についても特例があります。子や孫が直系の父母や祖父母から教育資金や結婚・子育て資金の贈与を受ける場合には、教育資金の場合は最大で1,500万円、結婚・子育て資金の場合は最大で1,000万円が非課税となります。どちらも年齢制限があり、こちらの特例も2019年末までの制度である点にはご注意ください。

暦年贈与、相続時精算課税制度、各種特例など生前贈与には様々な制度があります。今回紹介した制度を参考に、生前贈与について一度考えてみてはいかがでしょうか。

文・右田創一朗(元証券マンのフリーライター)

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