2018.8.31
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マネー

クレジットスコアレンディングで社会はどうなる? 信用経済の社会

(写真=REDPIXEL.PL/Shutterstock.com)
(写真=REDPIXEL.PL/Shutterstock.com)
個人や法人の信用力を数値化する――。近年新たな仕組みとして登場し、日本や中国で広がりつつあるのが「スコアレンディング」サービスです。スコアレンディングとはどんな制度、仕組みなのでしょうか。なぜこうしたサービスが成り立つのでしょうか。そしてこうした信用の数値化は社会に対してどのような影響を与えるのでしょうか。

スコアレンディングの仕組み:信用力や可能性をスコア化

スコアレンディングは、金融(ファイナンス)と最新技術(テクノロジー)を融合させた「フィンテック」のサービスの一つです。一般的には、人工知能(AI)などを活用して個人や法人の「信用力」や「可能性」をスコア化する仕組みとされています。

そのサービスを提供している企業によって数値化の方法やサービス内容は異なるものの、算出されたスコアを基に個人や法人が迅速にスコアに見合った融資を受けられたり、スコアが高い人はさまざまな恩恵を受けられたりするなどの特徴があります。

あるスコアレンディングサービスの例ですが、スコア化に必要とされる情報は、生年月日や性別、居住地の郵便番号、業種・職種、勤め先の規模、勤続年数、年収などのほか、結婚しているか、同居している家族は何人か、などです。金融機関からの借り入れの有無などについても申告が求められます。

こうした情報をスマートフォンやパソコンを使って専用画面で入力すると、それらの情報を基にAIが信用情報を数値化し、貸付利率や契約限度額が提示されます。入力した情報に漏れがあると、貸付利率や契約限度額は低くなる傾向にあるようです。

電子決済の利用状況やSNSでの交遊関係などによって信用情報を数値化するサービスもあります。どのような情報を基にAIが数値化をするかは、各サービスによって異なるわけです。

スコアレンディングサービスの特徴:公正さ迅速さなど

スコアレンディングサービスの特徴とされているのが、AIを活用することによる「公正さ」や与信判断を従来よりも早く可能にする「迅速さ」などとされています。

従来の人による与信判断では、そのときに判断を担当した人によって結果に多少なりとも差が出てしまいます。その点では、統一システムとしてのAIを全員が活用した方が、より公正な評価ができるという考え方です。

また高いスコアの人には与えられるインセンティブ、例えば特定のホテルにチェックインするときはデポジット(保証金)を払わなくても良い、という恩恵を受けられる場合は、ホテル側にとっても宿泊客側にとっても、チェックイン手続きを迅速にできるというメリットがあります。

本人が都度スコアを確認できると、より与信情報を高めようと努めることにもつながるでしょう。例えば評価を高めるために支払いの遅れを避けたり、SNS上での交友関係も健全なものにしたりすることでしょう。そうした各個人の行動の変化が、結果として社会に良い影響を与えているという見方もできます。

実際にスコアレンディングサービスを使ってみたら…

実際に存在する、あるレンディングサービスを使った例を紹介します。

レンディングサービスで無料のスコア診断を利用するには、メールアドレスとパスワードの登録が必要で、メールで届いた登録用リンクと認証番号を入力して本登録が完了します。その後、画面上にチャットフォームが表示され、AIが質問をしてきます。

今年で43歳になる開業医のAさんは「1975年5月生まれ」「男」「大学院卒」「医療・福祉(業種)」「経営企画(業種)」「非上場(10人以上)」「年収2,000万円」「既婚」「子供2人」「自己所有一戸建て」「3年以下(居住年数)」「1件借り入れあり」「借入額200万円」と入力していきました。すると、スコアが1,000点満点で「774点」と表示され、貸付利率は年9.3%、契約限度額は210万円と表示されました。

その後、このスコアをアップさせるために、車を2台所有していることや、お金の借り入れについては「健全で前向きな目的の借り入れならしたほうがいい」と思っていることと、趣味が読書やゴルフであることなどを入力すると、得点が774点から10点上がって「784点」になり、貸付利率は変わりませんでしたが、契約限度額は10万円アップの220万円となりました。

個人のプロフィールとして書き込んだ情報のほか、どれだけ情報を提供したかによっても評価が変わったということです。

信用経済の広がりでさまざまな企業が参入も

AIが個人や法人の評価をスコア化するというのは少し怖い気がする人もいるかもしれませんが、使いようによっては様々な可能性を秘めています。信用経済の広がりとともにさまざまな企業が類似サービスを提供することも考えられ、今後の動向にも注目していきたいところです。

文・岡本一道(金融・経済ジャーナリスト)

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