2018.7.17
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マネー

節税したい勤務医が知っておくべき最低限の節税の基礎知識

TRAIMAK / shutterstok.com
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勤務医の収入は給与所得です。税金は源泉徴収されているため一見すると節税の余地がないかのように見えますが、基礎的な知識があると「節税できるポイント」は案外見えてくるものです。

所得税の基本的な仕組みを整理する

所得税は毎年1月1日から12月31日までの1年間に個人が稼得した所得について課される税金です。日本は申告納税方式を採用しているため、翌年3月15日までに確定申告を行い、同日までに納税するのが原則です。

ただ、勤務医のように病院に勤務して給与所得を受け取っている場合、勤務先の病院が本人に代わって所得税を給与から天引きして毎月納付し、毎年12月に年末調整という形で1年間の所得税の精算を行うことで納税義務が完結します。他の病院でのアルバイト収入や原稿料収入などといった本業以外の収入がある場合や、給与所得が2000万円以上である場合などを除き、勤務医の方は基本的に確定申告をする必要がありません。

所得税は基本的に「所得(=総収入金額-必要経費額)×所得税率」で計算します。ざっくりとした流れは次の通りです。

【所得計算】の方法

●所得区分
収入の内容に応じて10種類の所得区分(給与所得や事業所得、雑所得など)に分ける

●所得計算
それぞれの区分の中で「1年間の総収入-1年間の必要経費=1年間の所得」を計算する

●所得合計
所得計算で算出した所得を合算する(※分離課税のものは除く)

●所得控除
配偶者控除や扶養控除などの所得控除(所得から差し引かれる金額)を計算し、合算する

●課税対象の所得金額
所得合計の金額から所得控除の合計額を差し引いて課税対象となる所得額を算出する

【所得税計算】の方法

●税額計算
課税対象の所得金額に応じた税率を見つけ、「5.の金額×所得税率」で所得税額を計算する

●税額控除
住宅ローン控除などの税額控除(税額から差し引かれる金額)やすでに源泉徴収された税額を計算する

●最終的な税額計算
税額控除の金額の合計を税額計算の金額から差し引いて最終的な所得税額を算出する

節税する際、もっとも注意したいのが「所得控除」です。

節税するなら「所得控除」に着目を

所得控除は節税の宝庫です。書店に並ぶ節税本でもっともページを割いているのは所得控除関連の項目となっています。といっても、奇抜な節税をするわけではありません。「扶養控除」「配偶者控除」「生命保険料控除」「社会保険料控除」といった誰もが年末調整でおなじみの項目が並んでいるだけです。

ただ、「誰もがおなじみ」である分、きちんと理解していないと税金で損をする項目でもあります。

所得控除にはどんなものがあるのでしょうか。勤務医の方にかかわりのあるものをピックアップし、どういった点に注意したらいいのか見ていきましょう。

雑損控除 災害や盗難で資産が失われた場合に

雑損控除は災害や盗難などによって生活資産が破損したり、なくなったりした場合に受けられる所得控除です。生活資産は納税者本人のものだけでなく、配偶者や扶養家族のものでもOKです(ただし所得制限があります)。失った金額の一部を所得から控除することができます。

医療費控除 年間10万円以上などかかった場合に

医療費控除は医師ならよくご存じでしょう。治療目的で1年間に支払った病院代や薬代が10万円か「総所得金額等の5%」のいずれか低いほうの金額を超えた場合、その超えた部分については所得から差し引くことができます。

この医療費で注意したいのが「通院のために電車やバスなどの公共交通機関を使ったら、その交通費も医療費控除に含まれる」という点です。また、医療費は同一生計であれば、扶養対象となっていない家族のものも含めてよいことになっています。税率が高い方が控除した方がトクなので、共働き世帯はより収入の多い方が控除した方が節税効果は高くなります。

なおセルフメディケーション税制の開始により、一定要件を満たせば、通院しない人でも薬代は医療費控除ができるようになりました。

社会保険料控除 扶養対象の家族でなくても?

社会保険料控除は月々給与から天引きされている社会保険料や国民健康保険といったものについての控除です。年末調整で完結することが多いのですが、注意したいのが医療費控除と同じく、同一生計ならば扶養対象でない家族のものも含めてOKという点です。所得が多いほうで適用すると節税効果が高くなります。

小規模企業共済等掛金控除 iDeCoを検討したい

勤務医の皆さんに検討して頂きたいのは、最近話題のiDeCoでしょう。確定拠出型年金で支払った掛金はこの項目で控除します。1年間に支払った金額は全額控除可能ですので、ぜひ検討したいところだと言えます。

生命保険料控除、地震保険料控除 掛け過ぎに注意

この項目もおなじみの人は多いかと思います。「いざというときのために」といくつも保険をかけて多額の保険料を支払う人も多いようですが、節税の面からするとマイナスです。

というのも、生命保険料控除が総額で12万、地震保険料は5万円が控除の上限額となっています。掛け過ぎないようバランスを考えた方がよい控除項目です。

寄附金控除 話題の「ふるさと納税」も

国や地方公共団体、日本赤十字社などの公益目的の団体で法律に定められたものに対する寄附は、寄附した金額から2,000円を差し引いた金額を所得から控除することができます。

最近話題の「ふるさと納税」もこの項目で控除可能です。ただし無限に寄附すればOKというものではなく、総所得金額等の4割までが控除対象の上限となっています。

配偶者控除・配偶者特別控除 上限引き上げられたが……

認知度がもっとも高い控除制度ですが、2017(平成29)年度税制改正により、2018(平成30)年1月1日から「高所得者には厳しく課税するがパート・バイトなどの人材は欲しいから優遇する」という税制になりました。

配偶者控除はこれまで「合計所得金額38万円(給与収入だけなら額面103万円)未満ならOK」として知られ、納税者本人の所得額については一切不問でした。しかし、今年から、納税者本人の所得額が900万円を超えた途端、配偶者の収入が38万円未満でも配偶者控除の金額は縮小されることになりました。

一方、配偶者特別控除の上限は引き上げられました。これまで配偶者が所得税の恩恵を受けつつ稼げる所得額の上限は76万円未満でしたが、123万円未満にまで引き上げられました。

なお、配偶者控除・配偶者特別控除はいずれも納税者本人の合計所得金額が1,000万円を超えると一切受けられません。たとえば勤務医本人が1,000万円プレイヤーだと、配偶者のパート収がたとえ0円であっても配偶者控除は受けられないことになります。

扶養控除 「子どもだから受けられる」訳ではない

扶養控除もポピュラーな所得控除の一つです。勘違いで多いのが「子どもだから受けられる」というもの。実際には、次の要件で決まります。
  • 扶養親族の年齢がその年の12月31日において16歳以上であること
  • 扶養親族が納税者と同一生計であること
  • 配偶者以外の親族等であること
  • 扶養家族の合計所得金額が38万円以下であること
同一生計は「同じ屋根の下で暮らしていること」ではなく「一つの収入でともにご飯を食べている」ことを意味します。そのため、故郷の老親に仕送りしている場合も、扶養控除の対象になります。

税金の内容を「知っているつもり」ではなく「きちんと具体的に理解している」ことが節税のコツとなります。時間があるときにちょっと調べてみられてはいかがでしょうか?

文・鈴木まゆ子(税理士)

 

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